みなさんこんにちは ! 管理人のありーなです
エネルギー輸入の停滞や大災害により電力供給能力が低下した場合、「計画停電」が実施される可能性がありますが、どのような形で実施されるのでしょうか?
2011年に実施された「計画停電」の経験を活かし、電力広域的運営推進機関と電力会社各社は「計画停電の考え方」を取りまとめて公表しています。
「計画停電」を実施する場合の、考え方・やり方をまとめた資料です。
今回の記事ではその内容を紹介します。
●電力広域的運営推進機関作成の「計画停電の考え方」を知りたい!
●電力会社各社作成の「計画停電の考え方」を知りたい!
そんな方はぜひ続きをご覧ください。
今後実施されるかもしれない「計画停電」は電力各社が作成した「計画停電の考え方」に沿って行われます。「計画停電」はどのような形で実施されるのかを知ることで、今後の対策を考える参考としてください
目次
電力広域的運営推進機関の「計画停電の考え方」
総合資源エネルギー調査会にて「平時においてこそ震災など突発的な事象に備えておくべきことが重要」と、万一の際の備えとして「計画停電の考え方」の取りまとめの指示がありました。
それを受け、電力広域的運営推進機関と電力会社10社がそれぞれ「計画停電の考え方」を取りまとめ、公表していますのでそのポイントをまとめて紹介します。
【電力広域的運営推進機関とは】
電力広域的運営推進機関とは、電力の需給状況や運用状況を24時間365日監視し、全国規模で一元的に把握している機関です。
需給悪化時には電力会社に対して、電力の融通や電源の焚き増しの指示などを行ない、電力の安定供給を確保しています
電力広域的運営推進機関が公表した「万一の際の備えとしての計画停電の考え方について」によると、
震災等により需給ひっ迫となった場合、一般送配電事業者・発電事業者・小売電気事業者と協調して、需給状況の改善に努めます。
そのために、一般送配電事業者に対してエリア間の電力融通を指示します。
それでもなお需給状況が改善しない場合、国からの節電要請を行い、それでも改善しない場合は国・電力広域的運営推進機関・ひっ迫エリアの電力会社の共同判断として(最後の手段として)計画停電を実施する場合があります。
1) 北海道電力の「計画停電の考え方」
北海道電力が発表した「万一の際の計画停電実施時の考え方について~極めて稀な災害等のリスクに備えて~」によると、
激甚災害等が発生し、大規模な発電設備の損壊などにより需給バランスが保てない場合、
① 北海道電力による供給力の回復に向けた対応(発電所の増出力、停止中発電所の運転、他エリアからの融通電力受電など)
② 契約者への節電のお願い
をしたうえで、それでもなお、需要に対して供給力が不足する場合、「計画停電を実施」しますとなっています。
【北海道電力 計画停電の考え方概要】
項目 | 計画停電の考え方 |
---|---|
対象者 | 北海道エリアで北海道電力・それ以外の電力会社と契約がある全員 |
時間帯 | 8:30~21:00を6つの時間帯に分類 |
割当て | 1つの時間帯に10グループ設定し、各グループ1日1回2時間程度 |
グループ決定・公表 (前日) | 実施前日の18時頃、プレスリリースとWEB上で公表 |
グループ決定・公表 (当日) | 実施当日の需給バランス状況により見直し。結果をあらかじめWEBサイト等で公表 |
時間帯のローテーション | 停電となる時間帯の公平性確保のため、毎日、時間帯を1つずつ前に入れ替え |
2) 東北電力の「計画停電の考え方」
東北電力が発表した「万一の際の備えとしての計画停電の考え方について」によると、計画停電は国民生活や社会の経済活動に多大な影響を与えるため、「不実施が原則」としています。
しかし災害等が発生し大規模な発電設備の損壊などにより需給バランスが保てない場合、
① 東北電力による需給バランス回復に向けた対応(火力発電所の炊き増し、広域機関による他エリアからの融通指示など)
② 国による節電要請
を行ない、それでもなお、需給バランスが回復できない場合に限り「計画停電」の実施することがあるとしています。
【東北電力 計画停電の考え方概要】
項目 | 計画停電の考え方 |
---|---|
対象者 | 記載なし |
時間帯 | 9:30~20:00を5つの時間帯に分類 |
割当て | 東北電力サービスエリアを30のグループに細分化し、1つの時間帯に6グループ割当て 各グループ1日1回2時間程度 |
グループ決定・公表 (前日) | 時間帯ごとの不足している電力に応じ計画停電を実施するグループを決定 前日時点で決定し、プレスリリースとWEB上で公表 |
グループ決定・公表 (当日) | 当日の状況変化に伴い、計画停電を実施するグループを変更する場合がある。最終的には、当日の実施予定時間の2時間程度前までにプレスリリースとWEB上で公表 |
時間帯のローテーション | 2日連続で計画停電を行う場合、日ごとに1時間帯ずつローテーション実施 |
3) 東京電力の「計画停電の考え方」
東京電力が発表した「計画停電に関するお知らせ」によると、
震災などにより需給状況が厳しくなった場合においても、
① 東京電力による供給力対策(火力発電所の増出力運転)
② 電力広域的運営推進機関への融通受電の要請
③ 国による節電要請
により「計画停電の回避」に最大限務めるとあります。
全ての対策を講じてもなお需給状況が厳しい場合に、国の判断の下、電力広域運営推進機関の指示を受け、東京電力が計画停電を実施することになった場合にはWEBサイトで計画停電に関する情報を開示した上で、「計画停電」を実施するとしています。
【東京電力 計画停電の考え方概要】
項目 | 計画停電の考え方 |
---|---|
対象者 | 原則すべての契約者 (東京電力グループ以外の小売電気事業者から電力供給を受けている場合も対象) |
時間帯 | 9:30~20:00を5つの時間帯に分類 |
割当て | 東京電力供給エリアを5つのグループに分け、停電するエリアを小さくするためそのグループをさらに5つのサブグループに細分化 各サブグループ1日1回2時間程度 |
グループ決定・公表 (前日) | 東京電力のWEBサイトおよびSNSで公表。住所から計画停電グループも検索可能 (前日・当日等、公表のタイミングについての記載なし) |
グループ決定・公表 (当日) | ー |
時間帯のローテーション | 停電時間等が公平になるよう「日替り停電制(停電時間帯が毎日変わる)」を実施 |
4) 中部電力の「計画停電の考え方」
中部電力が発表した「万一の際の計画停電の考え方について」によると、
計画停電は国民生活や社会の経済活動に多大な影響を与えるため、「不実施が原則」としています。
しかし激甚災害が発生した場合、発電設備の甚大な損壊などにより需要と供給のバランスが保てない場合、
① 中部電力による需給バランス回復に向けた対応(火力発電所の炊き増し)
② 広域機関による他エリアからの融通指示
③ 国による節電要請
を行ない、それでもなお、需給バランスが回復できない場合、「計画停電」の実施するとしています。
【中部電力 計画停電の考え方概要】
項目 | 計画停電の考え方 |
---|---|
対象者 | 中部電力の電力ネットワークを利用されているすべての契約者 |
時間帯 | 8:20~21:00を6つの時間帯に分類 |
割当て | 中部エリアを6つのグループに分け、各グループはさらに10サブグループに細分化。原則各サブグループ1日1回2時間程度 |
グループ決定・公表 (前日) | 計画停電はサブグループ単位で依頼。不足が見込まれる電力に応じて、当該時間帯内のサブグループを決定する。実施前日の18時迄、プレスリリースとWEB上で公表。住所から計画停電グループ・予定日時を検索可能 |
グループ決定・公表 (当日) | 当日不足が見込まれる電力が増減した場合、サブグループを変更(追加・減少)する場合がある。最終的には、当日の実施予定時間の2時間程度前に公表 |
時間帯のローテーション | 計画停電が複数実に亘り継続する場合、グループ間で偏りがないようにローテーションを実施 |
5) 北陸電力の「計画停電の考え方」
北陸電力が発表した「万一の事態に備えた計画停電での考え方について」によると、
計画停電は国民生活や社会の経済活動において多大な影響を与えるため「不実施が原則」としています。
しかし激甚災害が発生した場合、大規模な発電設備の損壊などにより需要と供給のバランスが保てない場合、
① 北陸電力による需給バランス回復に向けた対応(火力発電所の炊き増し)
② 電力広域的運営推進機関による他エリアからの融通指示
③ 国による節電要請
を行ない、それでもなお、需給バランスが回復できない場合、「計画停電」の実施するとしています。
【北陸電力 計画停電の考え方概要】
項目 | 計画停電の考え方 |
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対象者 | 北陸電力の電力ネットワークを利用されているすべての契約者 (新電力契約者も対象) |
時間帯 | 8:30~21:00を6つの時間帯に分類 |
割当て | 北陸エリアを6つのグループに分け、各グループはさらに4サブグループに細分化。原則各サブグループ1日1回2時間程度 |
グループ決定・公表 (前日) | 北陸電力のWEBサイトで住所から計画停電グループの検索可能 (前日・当日等、公表のタイミングについての記載なし) |
グループ決定・公表 (当日) | ー |
時間帯のローテーション | 各グループの毎日の停電時間が同じとならないうに、時間帯を1時間帯ずつ前にずらすようにローテーションを実施。公平性のため停電を実施したサブグループは実施していないグループよりも順番を下げてローテーションを実施 |
6) 関西電力の「計画停電の考え方」
関西電力が発表した「万が一の備えとしての計画停電の準備について」によると、
計画停電は国民生活や社会の経済活動に多大な影響を与えるため「不実施が原則」としています。
しかし大震災等の激甚災害を起因とした大規模な発電設備の被害により、需要と供給のバランスが保てない場合、
① 関西電力エリア内の火力発電所等の出力増加
② 電力広域的運営推進機関による他エリアからの電力融通の受電指示
③ 国による節電要請
を行ない、可能な限り計画停電の回避に努めるとしています。
計画停電は実施しないことが原則ですが、平時においてこそ震災など突発的な事象に備えておくことが重要であることから、計画停電を検討して考え方を発表しました
【関西電力 計画停電の考え方概要】
項目 | 計画停電の考え方 |
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対象者 | 全契約者 |
時間帯 | 8:30~21:00を6つの時間帯に分類 |
割当て | 関西電力供給エリアを6つのグループに分け、各グループはさらに8サブグループに細分化。原則各サブグループ1日1回2時間程度 |
グループ決定・公表 (前日) | 時間帯ごとの不足が見込まれる電力に応じて、計画停電をお願いするサブグループを決定。関西電力のWEBサイト(グループ検索システム)、お問い合わせ専用ダイヤルでグループの検索可能 (前日・当日等、公表のタイミングについての記載なし) |
グループ決定・公表 (当日) | 決定後の状況変化に伴い、不足が見込まれる電力が大きく変動した場合、計画停電をお願いするサブグループを変更(追加・減少)するときがある |
時間帯のローテーション | 停電エリア(グループ)は停電時間帯等が公平となるように毎日1時間帯ずつ前へずれていきます。第1優先サブグループも公平となるように日ごとローテーションを行う。極力2日連続で停電をお願いすることがないよう配慮したローテーションを行う |
7) 中国電力の「計画停電の考え方」
中国電力のWEBサイトを探しましたが、計画停電の考え方としてまとめられた資料はなぜか見当たりませんでした(「防災等への取り組み」のみ掲載あり)。
全体の取りまとめを担当した「電力広域的運営推進機関」のWEBサイトにある中国電力へのリンク先でも「計画停電の考え方」は見つけられませんでした。
【中国電力 計画停電の考え方概要】
項目 | 計画停電の考え方 |
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対象者 | |
時間帯 | |
割当て | |
グループ決定・公表 (前日) | |
グループ決定・公表 (当日) | |
時間帯のローテーション |
8) 四国電力の「計画停電の考え方」
四国電力が発表した「セーフティネットとしての計画停電の準備について」によると、
計画停電の実施は社会的な影響が非常に大きいコトンから「不実施が原則」としています。
しかし大震災等の激甚災害を起因とした大規模な発電設備の被害により、需要と供給のバランスが保てない場合、
① 関西電力エリア内の火力発電所等の出力増加
② 電力広域的運営推進機関による他エリアからの電力融通の受電指示
③ 国による節電要請
を行ない、可能な限り計画停電の回避に努めるとしています。
計画停電は実施しないことが原則ですが、平時においてこそ震災など突発的な事象に備えておくことが重要であることから、計画停電を検討して考え方を発表しました
【四国電力 計画停電の考え方概要】
項目 | 計画停電の考え方 |
---|---|
対象者 | 全契約者(新電力から電力供給を受けている場合も対象) |
時間帯 | 8:30~21:00を6つの時間帯に分類 |
割当て | 四国電力サービスエリアを60万kW程度ずつの7つのグループに分け、停電必要量に応じたきめ細かな調整ができるよう各グループをさらに15万kWずつの4つのサブグループに細分化。各グループ1日1回を原則とし、1回当り2時間程度 |
グループ決定・公表 (前日) | 翌日の予備率が3%を切る場合、国の需給ひっ迫警報 (18時頃)に合わせて計画停電の可能性を予告。 四国電力のWEBサイト(グループ検索機能)でグループ/サブグループの検索可能 |
グループ決定・公表 (当日) | 需給状況が改善されない場合、直近の需給状況を踏まえ停電時間帯、サブグループを明示して計画停電実施を公表(実施2時間前迄) |
時間帯のローテーション | 計画停電の時間帯は各グループ間で公平となるよう、毎日変更する。各サブグループ間でも公平が保たれるよう、計画停電の実施状況に応じてローテーションを行う |
9) 九州電力の「計画停電の考え方」
九州電力が発表した「万一の際の備えとしての計画停電の考え方について -平時から突発的な災害発生等に備えます-」によると、
計画停電は、他エリアからの融通電力受電や国による節電要請など、需給バランスの改善策を最大限講じても、当該エリアの需給バランスが維持できない場合に、やむを得ずお願いするものとしています。
しかし大震災等の発生により、万一、大型電源が停止を余儀なくされ、電力の需給バランスを維持できない状況となった場合、
① 九州エリア内の火力発電所の炊き増し
② 他エリアからの融通電力受電
③ 九州エリアの契約者に節電要請
④ 国からの節電要請
を行ない、需給バランスの回復に努めるとしています。
それでもなお、需給バランスが回復できない場合、計画停電を実施します。
【九州電力 計画停電の考え方概要】
項目 | 計画停電の考え方 |
---|---|
対象者 | 原則九州エリアの全契約者 |
時間帯 | 8:30~21:00を6つの時間帯に分類 |
割当て | 九州のサービスエリアを2つ(A:福岡・佐賀・大分・宮崎、B:北九州・長崎・熊本・鹿児島)に分割し、各エリアを電力規模が等しくなるように30のサブグループ(10万kW~20万kW) に細分化。1契約者あたり2時間程度 |
グループ決定・公表 (前日) | サブグループ毎の停電時間帯・ローテーションを定めた計画停電カレンダーを事前に公開。需給ひっ迫が解消できずに計画停電を実施せざるを得ないときは前日の夕方にWEBサイトで公表。九州電力のWEBサイト(計画停電情報検索システム)に住所等を入力するとサブグループの検索可能 |
グループ決定・公表 (当日) | ー |
時間帯のローテーション | サブグループ間の公平性を保つため、日毎に計画停電をお願いするサブグループの順番はローテーションする |
10) 沖縄電力の「計画停電の考え方」
沖縄電力が発表した「万が一の備えとしての計画停電の考え方について」によると、
計画停電は、国民生活や社会の経済活動に多大な影響を与えるため、不実施が原則としています。
しかし激甚災害が発生した場合は、大規模な発電設備の損壊などにより、需要と供給のバランスが保てない場合も考えられます。その場合、
① 沖縄エリアの火力発電所の炊き増し
② 国からの節電要請
を行ない、計画停電の極力回避に努めるとしています。
それでも需給バランスが回復できない場合、計画停電を実施します。
【沖縄電力 計画停電の考え方概要】
項目 | 計画停電の考え方 |
---|---|
対象者 | どの小売り電気事業者と契約しているかに関わらず、原則沖縄本島系統の全ての契約者が停電対象 |
時間帯 | 8:30~21:00を6つの時間帯に分類 |
割当て | 沖縄電力の供給エリアを6つのグループに分類。停電エリアをできるだけ小さくするため1グループをさらに10のサブグループに細分化。原則、1日につき1つの時間帯(2時間程度) |
グループ決定・公表 (前日) | 時間帯ごとの不足が見込まれる電力に応じて、計画停電をお願いするサブグループを決定。計画停電を実施する場合は、計画停電の対象グループおよび時間帯を割当てた「月間カレンダー」を公表。沖縄電力のWEBサイト(計画停電情報検索サービス)にてグループの検索可能 |
グループ決定・公表 (当日) | その後の状況変化に伴い、不足が見込まれる電力が大きく変動した場合には、計画停電をお願いするサブグループを変更(追加・削減)する場合がある |
時間帯のローテーション | 各グループの停電時間帯は、公平性を保つために日毎に時間帯を1つずつ前へローテーションする |
まとめ
電力の需給状況を全国規模で一元的に把握している電力広域的運営推進機関と全国10の電力会社によって公表された「計画停電の考え方」をまとめて紹介しました。
「計画停電」は実施しないことが原則ですが、最後の最後の手段として可能性がないわけではありません。
実際には1日2時間程度の停電ですが、いつ始まりいつ終わるのかは分かりません。
海外の戦争の影響で、エネルギー危機が起きないとも限りません。
突然の大災害で、エネルギー危機が起きるかもしれません。
「計画停電」とはどういうものか、事前に理解し、備える参考としてください。